「大地を知らずして人事を語るなかれ」
我が社には平凡社創始者の下中弥三郎から我が社の前身にあたる日本地図研究所の創立期(1954年)に、所長の原田英一に贈られ色紙が掲げられてある。地図を作製する立場の者としては大変意義深い言葉である。
大地=現地・地域を理解しないで、地図をつくるな、とも考えられる。また地理学でいう自然地理を学ばないで人文地理でのみ地域を論ずるなとも考えられる。地域を見つめる眼も単眼ではなく、複眼で見つめ考え、バランス良く考えろ、要は物事には順序・通りがあり、先ずは基本に則り行えと心得ている。近年、ITの進歩で机上にて簡単に現地の情報が得られるようになったが、やはり基本は現地を訪れ、現地の生の情報や印象を大切にしたいものである。現地の臭いは地図にとり大事な要素である。地図は「足で描け」ともいわれる。正に「野にあれ」である。