世にこの概念が生まれ産声を上げてから、実は2021年の11月で20年…もう20年も経つんですね。手前味噌ではありませんが私、デビュー初日から使っているので感慨深いです(詳細は省きますが当時は単なる「Suica」ではなくSuicaイオカードと称していました)。忘れもしない2001年11月18日、仲間に促されて恐る恐るJR久喜駅でデビュー記念柄を購入し、改札機を通った時のこと。
デビュー記念柄のSuicaイオカード。機能はまだ限定的で電子マネーとしては使えない
20年前の改札周りの光景、思い出せますか…? 扉のある自動改札機こそ実用化・一般化されて当たり前に設置されていましたが、裏の黒い切符・定期券や磁気式プリペイドカード(JR東日本ではIO<イオ>カード、関東民鉄各社ではパスネット)の入れ口と出口が天面にあるだけで、機械の中を素通しされる音がして扉が開きぴょんとモノが出てくる(降りる時切符は基本そのまま飲み込まれます)だけ。デビュー当日、私と知り合いが相次いで入場した際に改札機が発した「ピピッ」の音…今では当たり前で何の感慨もなく皆素通りしますが、当時は改札機が音を出すという概念が利用客に全くなかったようで、その瞬間我々2人は一斉に周囲の視線を浴びることとなりました…この人たちは一体何をしたんだ、みたいな(苦笑)
磁気式プリペイドカードの例。上がJRのイオカード、下が(これは東急電鉄の)パスネット
その後、システムが改修され1円単位の決済が可能になることで電子マネーとしての活用に道が開かれ、全国各地にご当地IC乗車券が次々勃興しました。基本的なシステムはどこもSonyのFelica非接触決済システムで共通していたこともあり、やがてこれらは相互利用が可能になって(わずかにできること、できないことの差はあるようですが)、現在は1枚のIC乗車券さえ持っていればどこでも運賃・買物の支払いに使える事実上「オールマイティ」化し、天下を取った格好になりました。やろうと思ったことはありませんが、利用できる範囲を地図上に落とし込むと恐らく、北は北海道から南は沖縄までが含まれ、結構日本全図に近い形になるはずです。
今や日常の風景となったタッチ入場・決済。しかしこれだけ長いこと使われているにも関わらず、いまだに改札機で赤色点滅とアラーム音を伴って扉を閉められる…こんな光景、時折目にしますよね? 当たり前になってはいても、IC乗車券のご利用案内webにはきちんと「使い方」が示されています。でも、どこを見てもみな「タッチ1秒」とか「しっかりタッチ」とか…しっかりって何なんでしょうか、意外に肝心なことはちゃんと書かれていなかったりします。
知り合いに運輸業界勤めでシステムに明るい方がおり以前話を聞いたことがあるのですが、改札機天面のセンサ部でタッチさせる際、回転させてしまうとNG率が上がるらしいとのことでした。これを聞いた後、確かに締め出される人の所作を見ていると自分の進む勢いに任せてセンサ上でねじっちゃってるケースがかなり目立つ気がします。自分の真横でタッチさせようとすると、どうしても前進運動によりこうなってしまいがち。改札直前でICを探してようやく出して…など慌てている場合も、余裕がないのでついつい自分のすぐ脇タッチをしやすいですが、あらかじめカードを持って自分の体より前に手を伸ばし気味にしてタッチすると回らずに通過しやすくなります。
などと講釈を垂れる私ですが、改札での失敗はほぼないもののバスでは何度かしくじりをやらかしています。特に運賃後払いで中扉後扉から乗り込む場合、かなりのケースでバスに取り付けられているセンサは柱に垂直縦置き状態である上、改札機と違い進行方向は前進真っ直ぐでもないことがほとんどで、歩きながらのタッチは改札以上に気を遣わないと機械が回転を認識してしまいがちになるようです。その点、自動販売機はそのほとんどがセンサをやや上向きに傾けてあるので違和感なくタッチできますし、そもそも「歩きながら」買いはモノを取り出す必要から全くあり得ないので、物販での支払いはほぼ失敗なくこなせるのではないでしょうか。
新型コロナウィルスの感染がなかなか収束しない中、接触機会を少しでも減らす意味での「ペーパーレス」「チケットレス」へ向けた議論・検討がなおも進んでいると聞きます。20年もの時を経てもなお、IC乗車券は今後さらに活用エリアが広がるのか、もっといろんなことができるようになるのか…目が離せません。