平凡社地図出版

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  • 弊社は、2024年5月8〜10日に東京ビッグサイトで開催される第15回EDIX東京に出展いたします。このため、この週は不在となるスタッフが多くなるなど業務に影響が生じる可能性がございます、詳しくは担当者までお尋ねください。 <2024.04.25>
  • 情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センターと株式会社平凡社地図出版は、『日本歴史地名大系』の機械可読データ化に向けた協働を推進し、このたび歴史的地名の「行政区画変遷」に関する大規模オープンデータ公開に関するプレスリリースを行いました。 <2023.10.18>
  • 学習地図ライブラリ特設ページに、搭載されているテーマ一覧を新たに掲載いたしました。 <2023.10.12>
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地名表記を変える、ということ

ロシアのウクライナへの武力侵攻を受けて発出された政府方針を踏まえて…

地名表記を変える、ということ

2022年3月31日に日本政府はウクライナの地名表記を変更する旨、発表を行いました。これを受けて弊社の地名変更への取り組みについて、テレビ局2社、新聞社1社より相次いで取材を受けました。これが、テレビのニュースや新聞紙面で紹介されました。

弊社の場合、ウクライナから地名表記変更の要望がかねてより出されており、それを受けて2019年ごろから順次、ウクライナの国全域にまで至らないものの、地図帳の表記の一部をカッコ書きによる「ロシア語読みとウクライナ語読みの併記」に改めていました。というのも、弊社の編集方針は、現地語での地名読みを尊重することを大前提としているためです。

弊社地図帳紙面を一部改変、加工したもの。政府の提示した表記例と少し異なるもののロシア語読み「キエフ」とは別の読みが併記されている

少し先走った新旧地名併記だったのですが、幸い報道が淡々と事実を紹介くださったので、ちょっとホッとしているのが正直なところです。とは言え、政府のウクライナ語読み方針に沿っているのはまだ一部でしかなく、地図帳の改訂では、やらなければならないことがまだまだ山積みです。

一方で、政府方針に従い盲目的に表記を変更することには、少し立ち止まって考えたいと思っています。例えば「チェルノブイリ」……。恐らくこの地名を、見たことも聞いたこともない、という人はまずいらっしゃらないでしょう。当時の原発事故およびそれに伴う放射能汚染の被害は甚大なもので、今や歴史の教科書に掲載されている「史実」です(しかもそれは、現在進行形で今なお続いています)。それが、2011年3月の東日本大震災に伴って発生した福島第一原発の水素爆発事故によって、幾度マスコミによって連呼されたことか……。「チェルノブイリ」は、世間一般に広く認知されている地名でもあり、政府見解が表記変更だからと書き換えてしまっては、地図上でチェルノブイリを全く探せなくなって、対応としては乱暴すぎる気がします。ウクライナの立場を考えると、旧ソ連で生じたマイナスイメージを背負った地名がウクライナ語表記に書き換えられるのは、いい気分がしないかもしれません。

新旧地名の併記は、表記変更にワンクッション置くためのいわば経過措置であり、この状態をいつまで続けるのか、新地名への一本化はどのタイミングなのか、改めて考えねばなりません。しかもそれは、地名の歴史や知名度によって、慎重な個別判断が必要です。数年前に弊社は国名ジョージアの旧称「グルジア」表記を地図上から(カッコ書き含め)外しました。併記期間が4〜5年に及び、世間へ十分にジョージア表記が浸透したと判断したためです。その一方で、インドの「ボンベイ」、「マドラス」、「カルカッタ」などの旧地名を、いまだに外していません。世界史上でも著名なこれらの地名を、今の地名に書き換えた結果探せなくなることにいまだ抵抗があるのです。

地名表記の変更は結果として、歴史の厚みをもった旧地名を地図上から消すことになります。ひとくちに地名表記を変更する、と言っても相当な勇気と決断がいるのです。

地図往来

地図制作の現場体験から「地図」の魅力を多方面にわたり語って参ります。地図はおもに私達の生活する地球上の時空間の仕組みを図化するものです。従って、自然、人文現象等、森羅万象を対象といたします。縮尺の概念が絡む世界ですが、大変広域に、また奥深く・・・お楽しみに!

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